だいこんおろし

舞台観劇の感想まとめです。ネタバレ有りです。(更新はまちまちです)

舞台『鬼のぬけがら』

ナイスコンプレックス N22『鬼のぬけがら』
http://naikon.jp/n22.html

昔々ある所で、ある少年が、ある物語に出会った。
人里離れたアラハマに住む青年は、
「働かなくても贅沢をして暮らせるだけの銭や物が欲しい」と思っていた。
仕事を放り出し、山へ逃げ込んだ青年は、ある晩、異様な光景を目撃する。
杉の大木にしがみついた青鬼の背中が割れ、脱皮を始め、見る見るうちに赤鬼になったのだ。
青年はその抜け殻を盗んで着込み、村で悪事を重ねる様になる。
ところが、いざ抜け殻を脱ごうとすると、どうしようにも脱げなくなり…。

甘えたくて甘えたんじゃない。好きでここに居る訳じゃない。
俺だって、わたしだって…。 誰だって楽がいい。でも9があるから10になる。
いつの間にか着てしまったこの鬼がらは、どうしたら脱げるんだろう?いつまで悲しいの?いつまでも可哀想なの?どうしたらそうじゃなくなるの?
これは、いつの間にか着せられたレッテルを脱ぎ捨てる、そんな物語。

日程:1月21日(水)~1月26日(日)
会場:下北沢OFFOFFシアター
脚本・演出:キムラ真
出演:末原拓馬(おぼんろ)/森田陽祐、早野実紗、神田友博、大久保悠依、赤眞秀輝 /荒賀弓絃、榎本舞、金谷優里、小林和也、中神芽依、根本沙織 濱仲太(ソラトビヨリst.)、深津紀暁(劇団桟敷童子)、前田勝 /キムラ真

音楽:橋本啓一
舞台監督:今泉馨(P.P.P)/川瀬誠
舞台美術:丸山賢一
照明:仲光和樹(E-FLAT)
音響:土屋由紀
写真:鏡田伸幸
記録撮影:Creative Office Doel
衣装:紅林里美
制作:佐藤希(アンデム)
協力:グッドラックカンパニー、豪勢堂GLove、劇団桟敷童子、ソラトビヨリst.、舞夢プロ (五十音順)
企画製作:ナイスコンプレックス

 

 

鬼、というタイトルからファンタジー系なのかなど思っていたら、
2011年3月11日に発生した東日本大震災を題材にした作品でした。

今の自分、今の父親、子どもの頃の自分、鬼の頃の父親。
色んな時系列の人物や想いが鎖交していく。

正直、題材的にも感想っていうのは出しにくいです…。

昔は自分勝手で自分や母親を蔑ろにして来た父に対し、特に嫌だったのが「鬼の話」。
それがあらすじにある鬼がらの話なのですが、息子は父親の過去の話だと思っている。
確かに父の過去の話なんです。
じゃあ何故その話を息子にし続けるのか。
息子にはそうはなってほしくないから、気付いてほしかったから。

息子はフリーライターだが大きい仕事が取れなくて生活が厳しかった。
そんななか震災が発生し、故郷であるアラハマに帰ってくる。
記事を書くため取材をしていくが、記事にしたのは人間の醜い姿。

避難所での外国人への差別、障害者への差別。
しまいには思い悩んで障害者である妹と心中しようとする兄、という場面に出くわした時にも、
止もせず写真を撮り記事にしてしまう。
その時心中を止めに入ったのが父で、息子がそんな行為をしたことを知った父はまた鬼の話をする。

色んな人物の愛が哀しくでも愛おしくラストは涙が止まらなかったです。
もう一回観たかった。

我ながら小並感な感想しか出ませんでした…。